セブン伊藤会長の辞任の経緯を知っておこう

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEO
(最高経営責任者、83歳)は4月7日、東京千代田区にある本社9階の大会議室で
取締役会を非常招集した。

議題の中心は、同社の子会社セブン-イレブン・ジャパンの
井阪隆一社長兼COO(最高執行責任者、58歳)を更迭するという人事案の採決だった。

うごめく欲と対立、経営方針の鮮明化

セブンアイ3取締役会が行われる2日前の4月5日、
鈴木会長がセブンイレブンの井阪社長を辞任させようとして
指名報酬委員会をアジェンダした。

ところがこのメンバーの、
社外役員である一橋大学大学院特任教授の伊藤邦雄氏と
元警視総監の米村敏朗氏の2人が、「業績好調の社長を更迭するのは納得できない」
として、この人事案を拒否した。

それならばと天下の宝刀を抜いたのだ。
鈴木会長は、強引に取締役会を開いたのである。

実は2月15日の段階で、鈴木会長が井阪社長に
「社長を辞任してくれ」とオファーしていたという。

井阪社長はいったんは了承したが、その後、これを取りやめる。
「辞任はしない」と断ったのだ。

なぜならば、
辞任する理由がないからだ。

セブンイレブンは、5期連続で好調な業績を維持している。
どこに辞める理由があるというのか。

取締役会の紛糾

鈴木さんは、今や完全なワンマン経営者(独裁者)だった。
だから、彼は、取締役会を開けば、当然、
自分の人事案が通るとタカをくくっていたのだ。

ところが、彼の人事案は、賛成7、反対6、棄権(白票)2という結果となり、
賛成が過半数に達せず否決されてしまった。

思惑がを外したその場で、鈴木さんは辞任を決めた。
取締役会の直後に記者会見を開き、辞任表明をしたのだ。

鈴木会長辞任の裏側

「流通の神様」とよばれた鈴木さんが、どうしてこうなったのか。
なぜ、伊藤さんは、鈴木さんの人事案を否決したのか。
ここが大きな火種になっている。

原因は、伊藤さんが鈴木さんに抱き始めた「不信感」だったと言われている。
どうやら最近は、伊藤さんは鈴木さんと直接話をしていなかったようなのだ。

数年前までは、何かあれば直接会って話をしていたが、
近年は直接会わず、人を介して話すようになっていたという。

そのきっかけは、鈴木さんが世襲を見据えたと思しき行動に出た時、
からだと言われている。

鈴木会長の思惑

セブンアイ22014年3月1日、セブン&アイ・ネットメディアが、
通販サイト運営のセブンネットショッピングを吸収合併するといった出来事があった。

コンビニと百貨店の流通をつなぎ、ネットとリアル店舗を融合させる
「オムニチャネル戦略」を推進するという狙いだったという。

鈴木会長の次男である鈴木康弘さん(51歳)が社長を務めた、
セブンネットショッピングは、1999年にソフトバンクや
セブン-イレブン・ジャパン、トーハン、ヤフーなどが設立した合弁会社だ。

だが、
業績は芳しくなかった。
そこで鈴木会長が次男に傷がつかないように、
次男の会社を吸収する形で救ったと言われている。

問題はその人事だ。

吸収されたセブンネットショッピングの社長だった康弘さんは
責任を取るどころか、存続会社であるセブン&アイ・ネットメディアの
社長に就任したのだ。

さらに2015年5月にはセブン&アイ・ホールディングスの
役員にまで抜擢された。会社の人事に世襲を持ちこんだ形に映った。

伊藤名誉会長や側近は、鈴木会長がゆくゆくは息子を
セブン&アイ・ホールディングスの社長後継者にするのではないかと疑い、
不信感を持つようになったと言われている。

鈴木会長自身は世襲について否定しているが、
伊藤名誉会長をはじめとする周囲の役員たちは、
そう見ていたのだ。

セブン&アイ・ホールディングスの大株主である
投資会社の米サード・ポイントは、コーポレートガバナンスの観点から
世襲につながる動きにネガティブととらえていた。

結局、鈴木さんの人事案は、4月7日の取締役会で否決されて、
辞任せざるを得なくなった。

「流通の神様」とまで言われた鈴木さんが、
どうしてこんなことになったのか。
やはり、流通の神様も、人の親だったということなのか。

鈴木会長後のセブン&アイの今後を占う

鈴木鈴木会長辞任後のセブンイレブンはどうなるのか。
これまでは5期連続で好調を維持していたが、
来期は厳しいのではないかという見方も一部では報じられている。

鈴木さんが新たな人事案を打ち出したのも、こういった理由が
あるのではないかとも言われている。

鈴木さんに近しい人たちに話を聞くと、
「世襲ではなく、今後は業績の悪化の懸念があったのではないか」という声も
上がっている。

業績好調のうちに新しい手を打たなくてはならないという
危機感が鈴木さんにあったとも言われている。

企業は、常に付加価値の高い技術や商品を仕入れなければならない。

鈴木さんは、そういう才能に長けている。
一方、井阪さんは、その点で少し危ういのではないかと言われている。

鈴木さんが、
「井阪社長からは新しい提案がなく、リーダーとして物足りない」という
不満を漏らしていたという説もある。

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